無監視スマフォとは何でしょうか?超初心者向けの説明

現代のスマートフォンは支配者にとって最高の大衆監視装置です。いつでもどこでも持ち歩き、何をするにもスマフォを使います。もしそれらの情報すべてが取得されれば、個人のプライバシーなど存在しなくなることは明らかでしょう。あなたの行動のすべてが把握されるのです。

ここでは、現状のスマフォがどんな監視をしているのか、無監視スマフォであるノーシープフォンに持ち替えた場合に、いかなる監視から逃れられるのかを説明します。しかし、そのまま何も考えずにノーシープフォンを使っても監視される場合もあります。それらの注意事項も合わせて説明します。

スマフォとは何か?

良く質問されることなので、あらかじめここで説明しますが、スマフォとはただのコンピュータと思ってください。コンピュータを小さくして手の平サイズにしたものです。Wifiに接続すれば、ネットの通信ができます。スマフォの機能のほとんどをこの状態で使うことができますね。

ただし、この状態では通常の「携帯電話」にはなりません。電話にするには、携帯電話会社との契約を行い、そのSIMをスマフォに入れます。これによって、電話番号が付与され、Wifiに接続しなくとも携帯電話ネットワークを使ってネットに接続することができます。

携帯電話会社によっては、スマフォと電話契約をパッケージして販売していることが多いので、勘違いしがちです。こう思っている方が多いようです、「スマフォとはそもそも携帯電話の機械であり、電話機能に加えて様々なアプリが使えるもの」。違います。そのイメージは捨ててください。本来のスマフォとは、小さなパソコンであり、持ち歩きが簡単なので、ついでに携帯電話機能をつけているだけなのです。

上の誤解が生じた元凶は「SIMロック」というものにあります。携帯電話会社が電話契約と同時にスマフォを売る場合に、そのスマフォに自社の電話契約しか使えないようにしていました。これを「SIMロック」といいます。例えば、auで購入したスマフォを使っていて、スマフォはそのままでsoftbankに変更したいと思っても、同じスマフォは使えなかったのです。「au専用のスマフォ」であったため、携帯電話契約とスマフォが一心同体に見られがちだったのです。

しかし、2021/10から、このSIMロックは原則禁止になり、それ以前販売されたスマフォでも無料でSIMロック解除できるようになりました。このため、スマフォという小さいコンピュータはそのまま使い続け、携帯電話会社を好きなように乗り換えられることになったのです。

これにより、本来の「自分所有の小さなコンピュータ」に好きな携帯電話契約を付けられることになりました。もちろん、携帯電話契約をせずに「小さなコンピュータ」として使うことは以前からできます。

スマフォはどのように監視されているのか?

現代のスマフォは、iPhoneかAndroidでしょう。Microsoftも同じようなものを出していますが、全く人気はないようです。iPhoneとAndroidのいずれの場合も、あなたという個人が特定され、少なくとも位置が完全に監視されています。

ここでは、携帯電話会社との契約があり、電話として使っているという前提で説明します。

まず、iPhoneはAppleという一つの会社だけが、ハードウェアもソフトウェアも作成していて、完全にブラックボックスです。そして、かなりの精度でその位置を常に把握しています。これは、電源OFFしても無駄で、充電が残っている限り、位置が把握され続けます。

その一方、Androidは多くのメーカーが様々な機種を出していますが、これらすべてをGoogleが位置把握しています。そもそも、Androidスマフォに搭載されるソフトウェアはオープンソースであり、そのようなスパイ機能は無いものなのですが、各メーカーは、そのオープンソースのソフトウェアを搭載した後に、Googleの機能を追加して搭載しないと売り物にはならないのです。このGoogle機能の中にスパイ機能が入っており、そのためにGoogleはメーカーを問わずにAndroidスマフォを監視できるのです。

各AndroidメーカーがGoogle機能を追加して搭載しなければならない理由としては、それが無いと一部アプリが動作しないからです。例えば、ある貸し自転車アプリはGoogle機能がないと動作しません。このアプリは地図を出して自分の位置を表示し、近くの自転車ステーションの空き台数を表示しますが、この時にGoogleの地図情報APIが必要になるのです。このために、Google機能がないと、こういった一部のアプリが全く動作しないということになってしまいます。

しかし、iPhoneと同様、Androidに追加搭載されたGoogle機能も、地図アプリの使用中のみならず、常に位置を把握して、Googleにそのデータを送っています。

このようにして、iPhone、Androidのいずれも、常にあなたの位置を把握しますが、しかし、位置だけを取得してそれがあなた個人と把握できなければあまり有用ではありません。「誰か知らない人がここにいる」では意味がないからです。

フマフォがあなた個人を特定する方法

スマフォの位置把握は完全に行えますが、それでは、そのスマフォがあなた個人のものであること、あなた個人がそこにいることをどうやって特定するのでしょう?

まず、Apple-ID、Google-IDというものがあります。基本的にはこれらのアカウントを取得して、アプリストアにログインし、そこからアプリをダウンロードしないとスマフォは使いものにはならないですね。これらのアカウントには電話番号が紐付いています。電話番号がないとアカウント登録ができないようになっています。ただし、この場合には抜け道があり、家族や知り合いの電話番号でも構いませんし、偽名でも構わないでしょう。

しかし、携帯電話会社と契約してスマフォのSIMを入れた場合、当然ながら、その番号はあなた個人のものですし、スマフォはその番号を読み取れます。この場合には、確実に電話番号が把握されます。

電話番号がなぜそれほど重要かと言えば、その番号だけで、あなたの名前も住所も完全に把握できる、つまり、個人を完全に特定できるからです。なぜでしょうか?

あなたの友人・知人の住所録にあなたの名前、電話番号、住所が登録されているからです。彼らはこれを自由に読み出せるため、あなたのスマフォにある電話番号と、住所録にある電話番号をマッチングさせ、あなたという個人を完全に特定できるのです。

仮に、それらの住所録に載っていなくとも、そうそう電話番号を変える人はいないでしょう。電話番号とあなたの自宅(完全に把握されている)と仕事場(これも完全に把握されている)を結びつけることはたやすいことです。

したがって、あなたという個人が今現在どこにいるのかを特定でき、さらには、どんなアプリがお好みかも把握できます。実際のところ、AppleやGoogleはそのアプリストアでの表示を操作することにより莫大な利益を得ているのです。例えば、あなたがアクションゲーム好きであることを把握した場合、アプリストアにおいてあなたが好みそうなゲームを並べることによって誘導し、ゲーム会社の上前をはねることができるのです。

最悪のスパイ行為:音声ガイド

さらにこれらのスマフォに搭載されている音声ガイド、SiriやOK Googleは、常にまわりの音声を拾っていますね。これらの情報はすべて取得され、分析されています。便利だからと言って何も考えずに使っていれば、ありとあらゆる情報が取得されてしまうことがわかります。

また、仮にこれらの音声ガイドを使っていなくても、勝手に音声が取得されている疑いがあります。例えば、友人としゃべっていただけなのに、何らかの広告にそれが出てきたということは誰しも経験することです。

無監視スマフォではこれらのスパイ行為が消えます

ノーシープフォンなどの無監視スマフォでは、これらの一切のスパイ行為はなくなります。SIMを入れても、何らかの会社に電話番号を把握されることはありませんし、現在の位置が誰かしらに把握されることも一切ありません。音声を勝手に取得されたり、お好みを把握されることもありません。

ただし、これには二つの例外があります。

一つは、携帯電話会社があなたの位置を把握できることです。これは携帯ネットワークの性質上、逃れられないのです。逃れるには、機内モードにして、携帯ネットワークから切断されるしかありません。そして、携帯電話契約を行うときには、必ず本人確認がされていますね。

しかし、4G電波の場合には曖昧な位置しかわかりません。5Gの場合は、かなり正確になります。もちろん、これらの情報は携帯電話会社の機密事項のはずであり、Apple/Google等の巨大ITに共有されることはないと考えられます。

もう一つは、アプリを使う場合なのですが、何も考えずにアプリを使ってしまえば、そのアプリ会社に様々な情報が取得されてしまうことです。これについては後述します。

アプリによるスパイ行為

ノーシープフォンを持てば、自動的にすべてのスパイ行為から逃れられるわけではありません。たしかに、スマフォ自体のスパイ行為からは解放されますが、その上で何も考えずにアプリを使えば、やはりスパイされてしまいます。

その前にアプリに与える権限を説明しますが、これがことのほか重要です。この話は、従来のスマフォ(iPhone/Android)、ノーシープフォンのいずれにも共通することで、ノーシープフォンへの乗り換え前の方にも有用なのでしっかり把握してください。

まず、スマフォにアプリをインストールして動作させると、そのアプリが何でも好きなことをできてしまうわけではないのです。例えば、アプリが勝手にマイクを使って好き勝手に音声録音したり、カメラを使って写真を撮ったりできるわけではありません。スマフォには、そのような機能の利用を許可するか否かのスイッチがあり、例えばマイクの利用が許可されていないと、アプリはマイクを使えず、音声録音ができません。

許可の種類としては、ネットワーク通信、マイク、カメラ、位置情報、通知、電話、付近のデバイス、音楽とオーディオ、写真と動画、連絡先、等があります。

ここで例えば、FacebookによるMessengerアプリを考えてみます。これは、いわゆるメッセージアプリで、相手と文字だけのやりとりをするのであれば、ネットワーク通信の許可があれば良いことになります。この場合、Messengerは勝手にマイクを使ったり、カメラを使ったりできません。

しかし、Messenger上で相手と音声通話をしたいときには、マイクの使用許可を与えないと通話できません。マイクからの音声を入力できないからです。ですから、「音声通話などしない」という人は、ネットワーク許可だけのMessengerを利用すればよいでしょう。この場合には、あなたがMessengerの画面で打ち込んだ情報しかネットワークには流れません。つまり、アプリの会社はそれしか得られないのです。

これに対し、LINEの場合は悪質です。LINEにおいて文字だけの通信を行う場合には、ネットワーク権限だけで良いのですが、LINEで通話をしようとすると、マイクだけではなく、他様々な権限を要求し、それを許可しないと通話ができないようになっているのです。例えば、必要もないはずの位置情報や付近のデバイスへのアクセスを要求してきます。無料通話という便利さのためにあらゆる情報を得る気がまんまんなのがLINEというものです。

特に注意したいものは、マイク、カメラ、位置情報

文字だけの情報ならば、自分が打ち込んだものしかアプリ会社側は見れません。これに対し、マイク、カメラ、位置情報については、注意しないと自動的にデータが流れてしまい、プライバシーが侵害されるおそれがあります。

かと言って、それらを許可しないと便利な機能が使えません。そこで、ふだんは完全に禁止して必要なときにだけ許可するという使い方もできます。

例えば、アプリにはマイク使用許可を与えますが、それを上書きして一時的にマイクを禁止することができるのです。これは、スマフォ全体について禁止するので、すべてのマイク許可を受けているアプリについてマイクの利用が禁止されます。

それが、「クイック設定」という機能です。これは、ノーシープフォンに限らず、最近のAndroidにはついています。

上から二度スワイプすることで、以下の画面を出し、ボタンをOFFにするだけです。

この状態で、例えば、カメラアプリを使って写真撮影しようとすると、「カメラを許可しますか?」などのダイアログが表示され、そこでOKすることでカメラ機能を使えるようになります。

使用するアプリを見直す

先に書いたLINEの例のように、アプリによっては、余計な権限を要求し、その権限がなければ便利な機能が使えないようにしている悪質なアプリもあります。また、Gmailのように、無料で大容量のメールボックスで便利な機能を使え、その代わりにすべての通信が見られ放題のものがあります。

こういったアプリレベルのスパイ行為にノーシープフォンは対処できません。この種のアプリを、皆さんよく使っていますね。ノーシープフォンに持ち替えたからと行って、この種のアプリのプライバシー侵害から守られるわけではないのです。

もちろん、すべてを網羅することはできませんが、いくつか代替アプリの例をあげてみます。

メッセージアプリ

MessengerやLINEはやめるべきです。Messengerは、E2EEという当事者どうしでしか読めない(Meta社でさえも読めない)暗号化を始めたそうですが、個人的には本当なのか怪しいと考えています。つまり、Meta社も読めるのではないかと思っています。これらのメッセージアプリでは、挨拶程度にして、より深い話は、こういった巨大IT企業ではないプラットフォームにて行うべきと考えます。

その第一候補としては、Signalです。第二候補としては、Sessionになります.。

メール

当然ですが、GmailやiCloud等の巨大IT企業のメールアカウントは避けましょう、いずれもGoogleやAppleのアカウントを作成すると自動的についてきますが、これらのメール内容は彼らに読まれ放題です。読まれないための独自の暗号化方法もありますが、通信相手も同意して同じ方式を使う必要があり、非常に面倒です。

こういった他の情報すべてをスパイして取得している巨大IT会社のものは使わないことです。彼らのサービスを使えば、よりあなたのプライバシー情報を集約することになります。少なくとも、他のサービスを行っていない会社のメールサービスが良いでしょう。最終的には、自身のメールサーバを立ち上げてしまう方法がありますが、一般の方には敷居が高いと思われます。

ブラウザの切り分け

少なくとも二つの種類のブラウザを使います。その一つはふだん使いにします。もう一つは、巨大ITにログインし、それらのサービスを使います。

この理由としては、例えばGoogleの場合ですが、一つのブラウザだけを使い、そこでGoogleにログインしていると、ほとんどどこのホームページを見ても、その行動がGoogleに伝わってしまうからです。なぜなら、あらゆるホームページがGoogleのアクセス解析システムGoogle Analyticsを使っており、Googleにログイン状態のブラウザからそれらのホームページにアクセスすると、あなたがそれを見たことがGoogleにわかってしまうのです。

これは、FacebookやTwitter(X)、おそらくAppleの場合も同じと考えられます。このため、二つの異なるブラウザを使い、一つは巨大ITのログイン用、もう一つはふだん使い用と切り分ける必要があるのです。

ノーシープフォンのサービス

一般社団法人ノーシープでは、無監視スマフォ「ノーシープフォン」を販売、あるいは、お手持ちのスマフォへのインストールサービスを行っています。こちらをご覧ください。