本記事は専門家向けです。
AOSPベースのカスタムROMは、そのままではGoogleのサービスが存在しないため、それに依存するアプリは全く動作しません。その対策の一つとして、GrapheneOSのように本物のGoogleサービスをSandBoxで囲んでしまうものがあります。しかし、完全にGoogleを使わないもう一つとしてmicroGというGoogleのサービスを模倣するライブラリがあります。これをカスタムROMに追加してやるわけです。
しかし、Google機能の無いどんなカスタムROMにも、何も考えずにmicroGを導入できるかと言うと、そうではなく、カスタムROM側にSignature Spoofingという機能が備わっていなければならず、しかし、これを提供するとセキュリティ上の問題になるため、提供していない場合があるといいます。その場合、そのカスタムROMでは、microGの利用はできません。つまり、Googleに依存するアプリは動作しません。
各カスタムROMのmicroGサポート状況についてまとめられたものが、microGプロジェクトの記事Signature Spoofingです(2022/5/5更新時点)。Bundledは太字にしてあります。
- AospExtended: Must be enabled in Settings > Apps > Advanced (gear icon) > App Permissions > Spoof package signature
- ArrowOS: microG will ask for Signature Spoofing authorization
- CalyxOS: Bundled with microG
- CarbonROM: microG will ask for Signature Spoofing authorization
- crDroid: microG will ask for Signature Spoofing authorization
- /e/: Bundled with microG
- iodéOS: Bundled with microG
- LineageOS for microG: Bundled with microG
- OmniROM 5: Must be enabled at the bottom of the developer settings first
- OmniROM 6/7: Must be enabled in Settings > Apps > Advanced (gear icon) > Additional permissions > Spoof signature
- MarshRom: Must be enabled in Settings > Apps > Advanced (gear icon) > Additional permissions > Spoof signature
Signature Spoofingの性質を考えた場合、後から有効にできるのではなく、最初からmicrGがバンドルされている方が、おそらくは望ましいでしょう。つまり、microGを使用するのであれば、CalyxOS、/e/、iodéOS、LineageOS for microGにすべきということです。
この件についての参考となる記事は以下です。
Signature SpoogingをサポートしていないLineageOSにmicroGをインストールしてみる
実際にSignature SpoogingをサポートしていないLineageOSにmicroGをインストールしてみると、どうなるかです。
以下は、LineageOSがインストールされたMotorola Moto G7 plusでのテストです。
F-DroidにmicroGのリポジトリを追加します。https://microg.org/fdroid.htmlに詳細な記述があります。
F-Droid上でmicroGを検索してインストールします。
microGがインストールされます。
このmicroG設定を見ると以下の記述です。
同じ画面を日本語で表示させてみると以下です。
先の記述の通り、LineageOSではSignature Spoofingがサポートされていないとのこと。ただし、Xposedモジュールというものを入れれば何とかなるようですが、あまりにも面倒です。やはり初めからmicroGがサポートされているROMに変更した方が楽そうです。
Xposedのインストール方法については、AndroidスマホにXposedを導入する方法という記事があります。